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2006/11/25

『僕らのバレエ教室』(87/100 '06)

イジュンギの映画デビュー作だからという軽い気持ちで借りて、
ユンゲサンが主演だとか、その彼が想う相手がキムミンジョンだとか、
それすら知らずに見た映画だったのですが、カンペキやられました。

ユンゲサンの映画デビューでもある本作ですが、
ふつう鳴りもの入りというか、いってみればアイドル系の人のデビュー作は、
もっとこう、なんというか、いわゆるアイドル映画を選ぶんじゃないかと、
勝手にそう思っていたのだけれど、これは違いました。
『子猫をお願い』が、子どもからおとなの狭間の女の子を描いた映画なら、
本作は、その男の子版とでもいうかんじ。
これを、女性監督が撮ったというのだから驚きます。

学校と家とだけが世界のすべてだったころ、
親や先生というおとなからは、あれをやれ、これをやれと指図されるか、
あれをやるな、これもやるなと禁止されるかのどちらかで、
はやくおとなになって、自分で自由に、何もかも決めたい。
そう思って窮屈な時間からどうやったら抜け出せるかと思案するばかり。

でも、おとなになるということは、じつは思いのほかたいへんで、
理不尽で不条理で不公平なことに出会うことであって、
無関心や不平等やいわれのない敵意にさらされることでもある。
子ども時代って、まわりに縛られているけれど、
それは同時に、おとなたちに守ってもらっていることでもあるわけで。

幼いころは気づかないことも多くって何気なく時は過ぎるけれど、
中学になり、高校になるころには、それなりにおとな社会を理解して、
防御の壁にひずみができて、そこから理不尽さが少しずつ注ぎ込んでくる。
何もしなければ、理不尽という名の海の底に沈んで溺れてしまう。

この物語は、その理不尽さと、自分の中の正直さとが対峙したとき、
おとなになろうとする自分と、それを無意識に拒もうとする自分とが対立して、
八方ふさがりの状態にいるのに、焦燥にせき立てられて、
行く道を選びかねて立ち止まる、そんな男の子を描いています。

そしてその役に、ユンゲサン、イジュンギ、オンジュワンが、
それぞれに、それぞれの葛藤と対峙しながら道を模索する姿を、
背伸びするでもなく、かっこつけるでもなく、真摯に向き合っている。
そんな映画でした。

繭に包まってまどろんでいた時間。
思い出すと、せつない、痛い、でも、あたたかい。
久しぶりに、そんな時間を思い出させてくれる映画です。
いまをときめく(笑)スターのデビュー映画だと侮る事なかれ(自戒を込めて)

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