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2008/01/03

『ペンギンの憂鬱』

実家に帰るとテレビのチャンネル権がないので、せっせと本を読む。
今年は1冊目からアタリでしたが、2冊目もアタリでした。春から縁起がいいわい。
ちょっとメズラシめですが、ロシア語で書かれた本ですが、
ウクライナの作家、アンドレイ・クルコフの長編です。

売れない短編小説家が、ある日、ヘンな仕事に手を染めます。
もちろん、本人はヘンな仕事だとはつゆとも思わずに始めるのだけれど。
定期的に収入が入るし、作家魂もそこそこ満足させてくれる仕事なのだが、
どうやら胡散臭いことの片棒を担いだらしいと、気づく。

彼のペットは、経営の立ち行かなくなった動物園から引きとった皇帝ペンギン。
名をミーシャというこのペンギンは、じつは憂鬱症を患っていて、
彼と、ミーシャと、預かった幼いソーニャと、そのベビーシッターのニーナと、
奇妙な家族ごっこをしながら、戦々恐々と毎日を過ごす作家。

結局、この作家はにっちもさっちもいかなくなる。
もともと人生に積極的ではない質の男だし、
ペンギンとの共通点は互いに孤独で憂鬱なことだけだったような、
自分の行動の責任を人に取ってもらうような人生だったわけだから、
だれに対しても深い関わりを持っていない。
その彼が、どうやら自分の書いたモノが何らかの形で、
だれか別の人間の生死に関わっていると知って、ビビる。
で、ビビった挙げ句に、知らないフリを決め込むのだが、
彼のそれまでの30数年の人生を考えたら、当然の結果だろうな。

ブラックなユーモアと、皮肉に満ちた観察眼がおもしろい。
どこか、村上春樹を思わせる作風で、ついつい引き込まれる。
ミーシャが、いったいどうなったのかが気になるのだ。

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著者:アンドレイ・クルコフ
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コメント

今年もどうぞよろしくね。

これ、私も本屋で立ち読みして
買おうかどうしようか悩んでやめた本だよーー
ってわけで、貸してください。

投稿: ツレ | 2008/01/08 19:04

あ、ツレちゃん、おかえりー。

っと、ごめんよ。
これ図書館で借りたのです。
でも読んでみて、絶対。


ヨーロッパで最初に人気が出たそうで、
あまりの人気に続編が出たらしいのさ。
だれか翻訳してくださいと思ったね。

投稿: 音樹 | 2008/01/09 21:41

読んだよー
クールな本だよね。
結末がなんだか救われるような救えないようなで好き。
読み返し本になりそう。

憂鬱ミーシャ、欲しいなぁ。
膝に擦り寄ってくるなんて
想像しただけでもかわいいーーもん。

投稿: ツレ | 2008/03/24 18:07

ツレちゃん、放置しちゃってごみん。

これ、かなぁりイケたでしょ?
ミーシャ、確かに欲しいよなぁ。
でも冷凍の魚代が恐ろしい・・・

なんというかこう、不条理な、
身勝手な男の情けない顛末なんだけど、
視線が暖かいというか、不思議なお話だよね。

投稿: 音樹 | 2008/03/30 16:30

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